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第66話 エコポイント制度にもの申す!

 5月15日からエコポイント制度がスタートしました。しかし、本制度は活用のされ方次第によっては、大いなるエネルギー消費量の増大を招きかねません。
以前に指摘(「第11話 省エネ製品への買い替え」、「第31話 効率化と浪費」) しておりますように、個別製品の省エネ化は進展していても買い替えや運用次第によっては、かえって消費電力の増大となることがあります。

 これはエコポイントが大型家電に多く付与される点に端的に現れております。例えば、大型テレビであるほどポイントが大きくなりますので、消費傾向を大型化の方に誘導しております。 当然のこととして大型テレビの方が消費電力が大きい訳ですから、増エネを誘導する政策と成り下がっているのです。
 これを防止するために「第53話 景気浮揚対策案−「省エネ買い替え促進事業」」では、 買い替えによる消費電力削減量に対して補助率も累進的に適用するような提案をしております。
 しかしながら今回のエコポイント制度では、全くの逆の仕組みとなってしまっております。 いくら景気対策のためだとはいえ、増エネを誘導するような政策がまかり通って良いものでしょうか?

 ほんの少し、制度をいじれば一石二鳥、一石三鳥の政策となるのにまったくもってモッタイナイことになってしまっております。
しかし、実施された以上は「悪法もまた法なり」といいます。折角のお上のお慈悲ですから、賢く活用させていただきましょう。

 そのためには、消費者が賢くなることが必要です。「エコポイントが付くので、この際もうワングレード上げても金額は変わりませんよ!」みたいなトークに決して乗らないようにしましょう。 増エネした分は自己責任です。当然に電気代や将来の税金に跳ね返ってくることを銘記しておいてください。

 そして、最終的には排出権取引で外国から買取らされることになってしまうのです。
 (参考:「第19話 排出権取引と排出抑制」)
  このように二重・三重の税金の無駄遣いに思えてしまうのは私だけでしょうか。

<2009/05/18 追記>
 早速、賛同のメールをいただき有難うございました。
ご指摘の通り、電球型蛍光灯(参考:「第13話 電球型蛍光灯による省エネルギー」)購入に対して半額補助するアイデアには、全く同感です。
これで白熱電球との価格差が4倍以下になりますので、価格/定格寿命でも交換メリットがでてきます。
 しかし、エコポイント制度は既に走り始めていますので、残念ながら今から制度変更は出来ないでしょう。

 そこで、「エコポイントを電球型蛍光灯に交換しよう!」運動を提唱したいと思いますが、如何でしょうか?
「買い替えで増エネを図られた皆様」エコポイントを省エネに有効活用していただけませんでしょうか。

<2009/05/22 追記>
 「大型家電は、どのようなものでも増エネになるか?」とのご質問をいただきましたので、コメント致します。
第8話 電力と電力量」で書きましたように、(消費)電力は仕事率(単位時間あたりにする仕事)のことです。一方、電力量は仕事率に時間を掛けたものです。
一般的に仕事率は大型になればなるほど大きくなります。メーカーは、従来製品や他社製品の同じ大きさや性能と比べて、これを小さくしようと競い合っているのです。
 また、消費電力が一定であるものは少なく、多くの家電製品の消費電力は時々刻々変化します。例えば、テレビでも画像によって消費電力は異なります。

 逆に大型のものが性能がアップする家電製品もあります。例えば、エアコンや冷蔵庫などがその例でしょう。消費するエネルギーに対して、冷やす能力が高いことを意味します。 つまり消費電力が同じならば、単位時間あたりの熱量が大きいということです。ですから、大型製品の消費電力の方が見かけ上大きくなりますが、従来と同じ使い方をすれば、結果的に省エネになります。
これは、これらの製品に温度調節などの機能が備わっており、単純に消費電力に時間を掛けたものが消費電力量にはならないからです。
 しかし、性能がアップしたからといって、従来より冷房設定温度を下げ(暖房設定温度を上げ)たり、運転時間を長くすれば、せっかくの省エネ分がキャンセルされたり、 より多くのエネルギーを使うようになってしまいます。

 本論で書いたテレビの場合には、消費電力量はほぼ視聴時間に比例しますので、消費電力の比較でその値の小さいものを選べば省エネになります。
もちろん視聴時間は、従来と同じとした場合であることは言うまでもないことですが・・・?

 それともう一点ご注意申し上げます。テレビなどのカタログ等で表示されている消費電力は、いわゆる定格消費電力のことです。 この測定方法については、一応のところ統一基準に基づいてなされているようですので、この数値を比較すれば概ね問題ないようです。
 しかし、基準中の測定条件に明るさの設定が工場出荷時設定となっていることに留意する必要(私的には明るさ最大で測定が望ましいと思います)があります。
テレビの消費電力は明るさの設定によって大きく左右されます。工場出荷時設定のままで利用されれば、表示通り性能を期待できますが、 もし工場出荷時設定が、何らかの事情でより明るく変更されて出荷されていたとするならば、カタログ表記よりも消費電力は大きくなります。
 また、家電販売店が設置時に、この設定値を変更することがあることでしょう。この場合には、ユーザーに明るさを変更すれば消費電力が変わることを説明すべきであると思います。

 何だか回答になったかならなかった判らないようなコメントになってしまいましたが、要は「より消費電力の少ないものを選択して、賢く使う」といったありきたりの結論でした。

2009/05/17新規

2009/07/02更新

第73話 エコポイント制度にもの申す!−その2


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