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第53話 景気浮揚対策案−「省エネ買い替え促進事業」

 定額給付金がいよいよ支給されるようです。この経済効果については、様々な議論がなされており、あまり効果が無いのではないかというのが大勢を占めているように思います。
論者によっては、その大半がギャンブルなどの遊興費に流れてしまって、全く経済効果は無いといった指摘まであります。

今回のテーマは、私が思いついた景気浮揚策を提案したいと思います。アメリカ大統領選挙のあり方をネットが一変させたように、政策提言をネットで取り上げていくことで、 「草の根民主主義」が実現(チョット大げさか?)できることに繋がればと思った次第です。

 前振りはこれ位にして、本題に入りたいと思います。
 今回の不況の最大の要因は消費が低迷していることです。これは多くの論者の共通するところで異論は少ないものと思います。ですから景気浮揚策としては、 消費を促すことに尽きるわけですが、その方法について種々の提案がなされているところです。定額給付金もその一手段に過ぎないのです。

 消費を刺激してもメーカーは過剰在庫を抱えており、生産調整を継続するものとみられますので、すぐに雇用に結びつくものではありません。 特に自動車、電機産業における需要の落ち込みは激しく、決算への影響や大量解雇は連日報道されている通りです。

 この状況を打開するためには特需が必要です。在庫を一掃して、尚且つ継続的な需要を喚起する必要があります。このためには、落ち込みの激しい自動車と電機にスポットを あてる必要があります。ご存知の通り、これらの業種は裾野が広く、多くの関連産業に影響を及ぼしております。ですから消費全般を刺激するよりも、少ない金額で多くの波及効果を 得るためにもターゲットを絞って対策を打つことが合理的です。
 そして、この産業の落ち込みが景気の悪化を加速したように、この業界の業績回復が景気回復を加速させることとなります。

 そこで具体策ですが、「省エネ買い替え促進事業」として電化製品と自動車について買い替え補助金を交付することとします。
即ち、現在使用中の電化製品や自動車と買い換えた製品とを比較して省エネになる場合に補助金を交付するものです。補助率も省エネ率によって累進的にします。
買い替えによって、大きく省エネに貢献でた場合には補助率も大きくなるようにすることで、需要の喚起と省エネを両立させます。
これは買い替えによって、増エネにならないような縛りをかける必要があるからです。そうすることによって景気浮揚対策と省エネ対策が実現できる、 まさに一石二鳥の案ではないでしょうか。
そして省エネになればなるほど補助率がアップするとなれば、各社こぞって開発に拍車がかかり省エネ技術が進展することでしょう。
 優秀な技術や製品は輸出が可能です。そして他国から排出権を買取るのではなく、むしろ売ることができるようになることでしょう。
となれば一石三鳥となるのです。

 先日、アメリカの地デジ完全移行が延期されたとの報道がありました。
 我が国の地上デジタルテレビ放送(地デジ)の普及率は、社団法人日本民間放送連盟(民放連)が2008年3月におこなった調査では、 対応受信機の世帯普及率は43.3%であったとのことです。
その後、北京オリンピックの効果で普及が加速したと思われますが、「地上デジタル推進全国会議」が2008年12月に発表した第9次行動計画に、 地デジ受信機の世帯普及率(2009年3月末で62%)といった目標が盛り込んであるということは、まだまだ普及していない現実があるようです。

 先の「省エネ買い替え促進事業」は、地デジ移行対策にもなります。

 「えっ、財源?」、「そんなことを私に聞かれても?」
 私は政治家でも官僚でもありません。そのようなことをやるのがそちらの仕事でしょう!

 少なくとも世帯毎に口座に振り込む手続きなどの煩雑なことをする必要はありません。売上増加になることですから、カーディーラー、家電販売店・量販店の皆さんが 喜んでお手伝いいただけることでしょう。

<2009/04/11 追記>
 昨日の政府補正予算案に「省エネ買い替え促進事業」が盛込まれました。
まだ運用の詳細が不明ですので、現段階で発言することが適当かどうか解りませんが、少々突っ込みを入れてみたいと思います。

 前述しましたように本事業が「増エネ」促進になってはなりません。
例えば、同型のテレビでは省エネになってるが、補助金がでるのでこの際大型テレビに買い替えようとか。1,300ccの車を2,000ccの車に買い替えようとかいったことになりはしないかといった懸念があります。
メーカーや販売店は、より高価なものが売れた方が良いに決まってます。「補助金が出るので、この際もうワングレード上げても金額は変わりませんよ!」みたいなトークで、 購買意欲をかきたてることでしょう。

 この辺は、きっちりと縛りを掛けておく必要があると思います。ガソリンが高騰した時期に「車に乗るな!」そうすれば環境対策にもなるといっていた方々が、 一転景気が悪くなると高速代を安くしましたので「ジャンジャン乗ってください!」そうすれば景気対策になりますといっております。

 景気対策が優先であるからといって、この豹変ぶりは如何なものでしょう。責任ある立場の人、それも同一人物の口から出た言葉とは思えません。

 メーカーや販売店もこれは税金を投入して行われる事業です。この点を充分検討していただき、節度ある営業を行っていただきたいと思います。
くれぐれも営業トーク集などで「増エネ」促進となるような想定問答を作成することはしないでください。

 そして、購買者側もこのような言葉に踊らされないように注意していただきたいと思います。


<参 考>
第57話 この不景気に思うこと
第66話 エコポイント制度にもの申す!
第73話 エコポイント制度にもの申す!−その2

2009/02/09新規

2009/08/12更新


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