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第39話 省エネ商法について

 省エネルギー業者(省エネ屋)の実態について「第4話 省エネ提案書の不思議」「第9話 悪徳省エネ業者」 で書きましたが、今回はそれらを若干補足してみたいと思います。

 省エネシステムの販売方法の特徴として、リースやレンタルを活用することにより、

(導入前のエネルギー支払月額−導入後のエネルギー支払月額)−導入システムのリース料月額=月額純利益

といった構図を作ることです。例えば、電気料金の月額がシステム導入によって100,000円安くなったとします。そのシステムのリース代が月額60,000円とすれば、 システムがタダで導入できて、尚且つ月額40,000円純利益になりますよということになります。

 この純利益(純メリットということもあります)月額の大小が成約の要となります。省エネ業者は、この純利益額を如何に大きくみせるかに努力するわけです。
 ここに省エネルギー提案書作成の妙技が見てとれます。それこそ様々の工夫が凝らされているといっても過言ではありません。
例えば、安全率を見込んで計算すると9,800円だったとします。この場合には確実に10,000円を超えた提案書に書き換えられることでしょう。
そのようにするためには二つの方法があります。すなわち導入効果を大きくするか、導入費用を安くするかの何れかです。
たったの200円の違いで結果は一桁異なりますから、売る側の心理(これは買う側の心理でもありますが)としては大変に道理にかなった行動なのです。 それくらいに省エネ提案書はいい加減に作成されてしまっているという現実があることをご理解いただきたいのです。

 「第23話 エアコンの省エネルギー」でも書きましたように、 計算の根拠といっても科学的(工学的)合理性を伴っているものは少ないものと思われます。
例えば、エアコンの間欠運転の提案書でも季節毎の平均稼働率(これも根拠が怪しい)に圧縮機の消費電力を掛けてそれの30%削減するからといった簡単な計算でお茶を濁しています。
ですから純利益額を少しばかり誤魔化すなんて朝飯前なのです。というのも後で何とでも言い訳ができるからです。「今年の夏は去年より暑かった」とか何とかといえば、 お互いに根拠が薄弱なのですから水掛け論に持込めるでしょう。

 しかし契約書に「純利益額を保証をします。」と書いてあれば話は違います。メリット保証が無ければ提案書のメリット額なんて絵に描いた餅みたいなものです。
良心的な業者は何らかの形でメリット保証をしているはずです。 ただ単にメリット保証をしますというだけではダメです。導入前後の何と何を比べて、どうなった場合にどうすると計算式ないしは数値で明確に表現されていることが必要です。
それができる業者は、いい加減な計算でメリットを誤魔化すことは無いでしょうし、色々な意味でレベルの高い業者と言えるでしょう。
それ以外の業者とは、正直言ってお付き合いしない方が無難です。その提案がどんなに魅力的に見えてもです。
いや魅力的であればあるほど避けた方が賢明かも知れません。

 それから悪徳省エネ業者の常として「導入実績表」なるものを必ず用意していることです。それも胡散臭い業者ほど豪華なものや分厚いものを設えております。
その中には必ずといって良い程、その業者の取引先として相応しくないような超有名企業が含まれています。しかし、その真偽の程は担当者を直接知っているなどの特殊なケースを除いては確かめようがありません。
それから掲載企業の許諾を得ていることはまずありません。掲載される側からしても特別な事情が無い限り許諾を与えることは無いでしょう。

 確かに実績表をみせられ、あそこも、ここも導入していると言われれば安心感もあるでしょう。 万一、導入が失敗しても担当者は「あの企業が導入しているんだから」といった言い訳ができるかも知れません。しかし、そんなことが何の足しになるのでしょうか?
 例え、どのようなものであれ自分で納得のいくまで検討することが絶対的に必要です。技術が理解できなければアドバイスを受けるなり、ちゃんとした契約をすれば済むことでしょう。

 どの業界でも同様でしょうが、省エネ業者の中にも問題業者が存在します。かつて問題になった業者は、社名や商品を替えて同様のことを繰り返します。

 くれぐれもこのような悪質な業者の被害にあわないようにご用心いただきたいと思います。

 このような話題で毎回書くことですが、「省エネルギー」することは必要なことです。皆様も業者の良し悪しを見抜く目を持っていただき、 良心的な業者を選んで省エネに取組んでいただけるよう念願いたします。

<参 考>
 第5話 コストダウンと省エネルギー
 第20話 節電器について
 第45話 電子ブレーカーについて
 第47話 省エネルギー効果検証について
 第122話 省エネ・節電トラブル急増中 <2016/01/28 追記>

2008/11/19新規

2016/01/28更新


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