第30話 温度管理によるエアコンの省エネルギー
最近は趣味に走って仕事をしていないのではないかと思われそうですので、久々に省エネネタを書いてみたいと思います。
第23話 エアコンの省エネルギーでも書きましたように、エアコンの省エネルギーにとって重要な要素は適切な温度管理です。
リモコンの温度設定を冷房28℃、暖房20℃といった政府推奨温度に設定することによって省エネルギーを図ることがこれにあたります。
しかし現実にはこの推奨温度が守られていない(推奨温度が妥当か否かは議論のあるところでしょうが)ことが多々見受けられます。集中管理されている場合はいざ知らず、個別に設定できるエアコンについては簡単に変更できることから
ついつい強め(冷房は低め、暖房は高め)に設定されていることが多いのでしょう。
朝一にエアコンを運転するとか昼休みにエアコンを停止させたりしている場合には、室温は設定温度とかなりかけ離れた温度になっております。
こんな時、早く室温を下げたいと思って通常は28℃に設定してある設定温度を例えば25℃に設定したことありませんか。
実際には28℃設定であろうが25℃設定であろうが室温の低下スピードは変わりません。その違いは室温が28℃付近に維持されるか、25℃に維持されるかの違いです。
どちらの設定でも運転開始から室温が28℃になるまでの時間は同じということです。25℃設定にした方が早く冷えると感じているに過ぎないのです。
(冷やすスピードを早くしたいのならば、送風量を多くすることです。風量切替を「強」にすれば良い訳です。もし風量切替が「自動」に設定されている場合には、
設定温度と室温の差によって風量が自動調整されますので、その限りにおいて設定温度を低くした方が早く冷えると言えるでしょう。)
後で28℃に戻そうと思っても大体は忘れられているのが現実でしょう。せっかく快適な室温になっているのを28℃に戻す物好きは少ないと思います。
こんなことでは省エネが進展しないということで、三菱電機 ビル用マルチエアコン「MEリモコン」
といった製品が開発されたのでしょう。
グッドアイデアであると思います。リモコンを交換するだけで対応できますし、価格もリーズナブルです。この程度の価格でしたら、
現状と導入後の設定温度差、稼働時間、エアコンの能力にもよりますが、数年程度で軽く償却できるものと思われます。
惜しむらくは、この製品は同社の特定の機種だけにしか対応できないものと思われます。大多数の機種に対して対応できるようにすることが望まれます。
また、デマンド信号を受けて2〜3段階に設定温度をシフトするようにできたらもっと応用範囲が広がります。
余談ですが、某大手自動車メーカに省エネシステムを売り込みに行ったとき、全く同様のアイデアを聞いたことがあります。
この時は、別の空調メーカーさんのエアコンでしたので、直接関係があるかどうかは不明です。
他社エアコンについては、かつて私が開発した間接制御方式(エアコンの室内機で温度監視をしながら、ある方法で圧縮機を間接的に制御する方法)で行えば、
ほとんどのエアコンに対応可能です。個別のエアコンに取り付けるエアコン温度設定ユニットとデマンド監視制御装置(デマンドコントローラー)の管理下に動かし、
個別エアコンの設定温度の集中管理とデマンド管理が同時に実現できる空調温度管理システムといったものがありました。
(参考:第21話 デマンド管理による省エネルギー)
残念ながら、このメーカーは「第3話 省エネルギーと行政書士(3)」でも書きましたように倒産してしまいました。
開発してから十数年になりますが、今日的意義は未だに失われていません。更に当時には無かったアイデアを付け加えることにより、かなり画期的なシステムを開発することが可能です。
どなたか我と思わん方は、一緒に開発しませんか?
<参 考>
第13話 電球型蛍光灯による省エネルギー
第22話 インバーターによる省エネルギー
第25話 自動販売機の省エネルギー
第43話 設備改修による省エネルギー
第49話 LED照明による省エネルギー
空調温度管理による省エネルギー(空調温度管理とは?)
2008/09/07新規
2013/10/09更新
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