☆空調温度管理方式の特長☆
「空調温度管理と省エネの仕組み」のところで、適切に温度管理を行うことで省エネを達成できることを説明いたしました。
ここでは、温度管理にまつわる諸問題を検討し、どのような経緯から空調温度管理システムが生まれたかを説明したいと思います。
一口に空調機(エアコン)といっても種類が色々ありますが、身のまわりの空調機で一番多いのが部屋の壁にリモコンが取り付けてあるタイプだと思います。
このタイプは、部屋毎に運転管理(運転/停止、冷暖房切替、温度設定など)できるのが特長です。
この特長が空調温度管理にとってのウイークポイントにもなります。というのも個別に温度設定ができるということは、
勝手に設定することも可能だということでもあります。
各部屋の空調温度を一ヶ所から集中管理できたら勝手に変更することはできませんので、
少なくとも人の行動による問題は生じない訳です。
空調温度管理を適切に行なうために
@決めたられた運転時間や設定温度を守る(自主運用)
A温度設定器に細工して、設定温度を変更できないようにする
B各部屋の空調機を集中管理する
等の方法が考えられます。
@の場合は、あくまでも決め事ですから、守られない場合には効果がありません。
Aの場合は、各空調機毎に細工しなければなりませんし、設定温度を変更したい場合にも空調機毎の対応が必要です。
Bの場合は、集中管理方式ですから遠方にある多数の空調機を一ヶ所から管理できるようになり非常に便利です。
AとBは、利便性を除き効果は同じです。但し、システムの導入コストはかなり異なります。
特にBの場合で、新規に空調機を設置する際に集中管理方式のものを導入すれば問題ありませんが、
既設の空調機に後付で集中管理にしたい場合には、良い方法が見当たりません。
空調機のメーカが異なる場合などは、不可能に近い(いくらコストをかけても良いのなら話は別ですが)と思われます。
空調温度管理を行うための基本的な要素として
・冷やし過ぎや暖め過ぎを防止できること
・異メーカー、異機種の空調機に対応可能であること
・空調機の動作に悪影響を及ぼさないこと
・既設空調機に後付できること
・取付け工事が簡単であること
などがあげられます。
更に
・デマンド管理ができること
・個別空調機の集中管理ができること
ができるようになれば、なお一層便利になります。
これらの課題を解決するために開発されたのが「空調温度管理システム」です。
一番簡単な方法は、圧縮機に直接介入することによって制御することです。しかし、先にも述べましたように、
様々な問題がありますし効果もあまり期待できません。
これを解決するためには、室温を検知し、それに基づいて圧縮機を制御する方法があります。
これは、空調機の温度管理機能そのものになってしまいます。
元々空調機自体に備わっている機能を別個に付け加える訳ですからコスト的にも見合うはずもありません。
また、温度管理するためには室温を知る必要があります。ですから温度センサーを室内機(あるいは室内の何処か)に設置しなければなりません。
結局、空調温度管理を行うためには、温度調節機能を利用して行うしかないという結論に達しました。
ほとんどの空調機は、それ自体が室温を検知して設定温度に応じて動作するような仕組みを持っています。
例えば、冷房設定温度を25℃とした場合のことを考えてみます。室温が25℃より高ければ冷風がでて部屋を冷やします。
室温が25℃より低ければ、冷風がでなくなります。
問題は、冷房設定温度を25℃にしても室温を28℃に管理したい場合にどうするかということです。
(そもそも冷房設定温度を28℃にしておけば、何ら問題は発生しないのですが?)
そこで、空調機の温度検知部(温度センサー)に介入すれば、空調機を管理下におくことができるのではないかというアイデアがだされました。
つまり、室温が28℃であっても、空調機自体が25℃より低いと判断すれば冷風がでなくなり、それ以上冷えません。
極端な話しですが、温度センサーを水とか氷で冷やせば、室温が下がったと空調機が思い込み冷風を出さなくなります。
また、暖房の時には温度センサーを指でつまむなどして暖めれば、室温が上がったと思い込み暖風がでなくなり、それ以上暖かくなりません。
というのが、このアイデアの本質なのです。
残された課題は、これをどのようにして実現するかというだけの問題になります。
その実現方法は、「空調温度管理方式と空調機制御方式−その1(サーミスタ)」と
「空調温度管理方式と空調機制御方式−その2(サーモスタット)」で詳しく説明しますが、圧縮機に直接介入する方式に対して、
温度センサーに対して介入することにより間接的に圧縮機を制御することから、「圧縮機の間接制御方式」と名付けました。
「圧縮機の間接制御方式」を採用することにより、従来の空調省エネシステムを格段に進歩させることができたと思っております。
もちろん「空調温度管理システム」は、まだまだ発展段階にあります。システムの使い勝手の改善、監視機能の向上、他システムとの協調性、・・・。
より良いシステムを目指して、日々努力をして参ります。
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