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第72話 コスト削減による利益の分配について(利益三分の計)

 努力を重ねコストを削減した利益をどのように分配するかといったことが今回のテーマです。
「そんなこと決まっているでしょう!」それは当然会社のもの「会社がどう使おうが勝手なこと。要らぬおせっかいだ!」といわれそうです。
「まぁ、そう仰らずに」私の主張にしばらくお付合いください。

 「天下三分の計」をもじって「利益三分の計」を提唱したいと思います。(どなたか既にお使いでしたら御免なさい。)
天下三分の計とは、言わずと知れた諸葛亮孔明の策であります。これとは全く趣旨が異なりますが、とりあえず語呂がいいので採用させていただきました。 何をするにもネーミングが大切です。短いフレーズで言わんとすることをズバリと表現する。これが成功の第一歩なのではないでしょうか。

 前置きはこれくらいにして、本題に入ります。

コスト削減で得られた利益を三分割(均等に分割する必要はありませんが、説明は簡単のために均等に分割したこととして進めます。)して、
 1.会社のために
 2.社員のために
 3.将来の共通利益のために
使うこととします。

 「会社のために」は説明の必要はないと思います。元々、会社の利益な訳ですから本来とやかく言われる筋合いのものではありません。 逆に、これを三分の一にしてしまおうということですから、とんでもないことだといわれそうです。

 「社員のために」利益を分配します。直接に給与や賞与アップの原資としても良いし、福利厚生などで間接的に還元することでも構いません。 要はコスト削減の効果を社員が直接享受できることが重要です。
 社員にそのコスト削減の利益が還元されることとにより、コスト削減を実感することができます。こうなれば、頭脳が活発に働き次から次へと改善のアイデアが出てきます。
現場のことは現場に聞くのが一番です。現場を一番良く知る社員が、主体的に行動を開始することによって正のスパイラルが発生します。
上からコスト削減せよといくら言っても掛け声だけがこだまするようなことにしかなりません。

 「将来の共通利益のために」は、少し判りづらいかもしれませんが、目先のことに捉われずに将来のために使いましょうといったことです。
経営状況がきついならば、目の前におかれた「ぼた餅」に手を出したい気持は十分に理解できます。しかし思わぬ「毒饅頭」かも知れません。
会社からみればコスト削減から得られた言わば「棚ボタ的」な利益です。しかし、社員からみれば血の滲むような努力の成果かも知れません。
 ここはやはり将来へ向けての投資に使うべきです。会社も社員も将来の利益のために目先の利益に捉われることなく有効に活用することが必要でしょう。

 このように利益を三分割することによって、コスト削減活動を効率化・永続化させることができ、中長期的な会社発展に寄与できます。

 これを保証するためにも見える化が必要です。コストの見える化は言うに及ばず経営情報の見える化も重要です。
社員への分配、将来の共通利益への分配を担保するためにも必要なことです。

<参 考>
 第5話 コストダウンと省エネルギー
 第36話 見える化によるコストダウン
 第41話 人件費削減の是非

2009/06/20新規

2010/08/18更新


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