第58話 操縦訓練記(11)−タッチアンドゴー−その5
前回書きましたように、長崎空港(RJFU)に出かけてTGL訓練を行いました。初めて他空港へ出かけますので、期待の中にも緊張感が溢れておりました。
事前に長崎空港の情報を収集したり、管制圏のATCの要領を予習しておきましたが、果たしてその成果は如何に。
一緒に訓練しているY氏と片道ずつ交互に訓練することにして、今回は私が佐賀空港(RJFS)から長崎空港までを操縦することとなりました。
何時もの通りフライトプランをファイルた後、エプロンへ出て機体の飛行前チェックを実施し搭乗しました。その後も手順通りチェックを進めます。
そして何時もの通りテイクオフし、レフトターンデパーチャーで情報圏を離脱し、3,000フィートまで上昇して巡航に移りました。
ここまでは、全て経験済みのことですので、久々に(2ヶ月ぶり)トラフィックパターンを外れること以外は特に違和感はありませんでした。
予定では鹿島上空を通過後、東彼杵ICへ向けて一直線のつもりでしたが、どうも地形を読み誤ったのか20°程北に向きすぎていたようです。
3,000フィートを越える多良岳山系を避けることとATIS(Automatic Terminal Information Service)のワッチに気を取られてしまい、ヘディングの確認を怠ってしまいました。
ヘディングを修正した後、長崎TCAにコンタクトし、TCA Advisoryを要求します。上空で景色を眺める時間的余裕もなく、10分足らずで長崎空港へアプローチするために降下を開始します。
長崎タワーにコンタクトし、管制圏への進入許可と着陸(TGL)の指示を受けます。RWY32のライトダウンウインドへ入る指示がありましたので、ダウンウインドの中央を目指して降下をします。
トラフィックパターンに入った後は、いつも通りのTGLです。
異なるところは佐賀空港の滑走路が2,000×45mであるのに対し長崎空港の滑走路が3,000×60mである点くらいと気軽に考えていましたが、
意外に幅の違いが滑走路の見え方に影響を与えるようです。
パスの感覚がかなり異なりましたので、進入角指示灯(PAPI:Precision Approach Path Indicator)を頼りにファイナルアプローチしました。
また、地上目標が異なりますから最初は戸惑ってしまいましたが、滑走路の見え方だけでも何とかトラフィックパターンを廻れるようになったかなと思います。
私の最大の課題は、ベースターン時に機首を突っ込み過ぎて大きく高度ロスをしてしまうことでした。今回は何としてもこれだけは修正しようと思っておりました。
その甲斐もあって、今回はフルストップを含めて4回ランディングしましたが、ベースターンからファイナルまではかなり安定してきたように思います。
最後の引き起こしの感覚が未だ掴めておりませんが、以前よりは随分と良くなってきていると思われます。
ただ、以前修正したはずのセンターからのズレがまた出てしまいました。私の場合には常にセンターラインより左側に接地してしまいます。
原因は、カウリング上の基準点(自分で決めているポイント)と目標(この場合には滑走路の中心線)を合わせるようにするのですが、
それがいつの間にか基準点がカウリングのセンターに近くなってしまっているのです。ですから滑走路に近付けば近付くほどセンターから左に寄ってしまうのです。
気付いた時には、既に遅しで修正が効かないところまできてしまっているのです。判ってはいるのですが、余程気をつけていないと疎かになってしまいます。
これは飛行全般に係わる重要で基本的なことなのですが、未だに癖が抜けません。
次回はセンター合わせと引き起こしを重点にしてTGL訓練に取組みたいと思います。
フルストップ後は、グランドとコンタクトしスポットへのタクシー指示を受けスポットに向けてタクシーします。
指定されたスポットに停止し、やっと緊張感から開放されました。
昼食は空港のターミナルビルで「特製長崎チャンポン」を堪能いたしました。
帰りは同乗ですので気楽なものです。後部座席でトラフィックパターンの目安になるようなポイントを探したり、航空図を見ながら地形を確認したりしておりました。
まもなく着陸100回となりますが、未だにランディングというものが見えてきません。
しかし、たった55分間のフライトでしたが、貴重な体験となりました。そして、ほんの少しですが兆しのようなものが見えてきたような気がします。
少なくともそういった手応えを感じさせてくれたフライトでした。
現在までフライト回数22回、着陸回数92回、総飛行時間20時間30分となりました。
RUNWAY 32からのテイクオフ
ダウンウインドレグにて
RUNWAY 32へのファイナルアプローチ
上空3,000フィートより長崎自動車道大村湾PAを望む
2009/02/28新規
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