第54話 操縦訓練記(10)−タッチアンドゴー−その4
やはり、その4を書くはめになってしまいました。
昨日は黄砂が飛来して視界がかなり悪かったので、本日の訓練も心配しておりました。案の定、朝から視界が悪く、
飛行視程5,000mでギリギリの有視界気象状態(VMC/Visual Meteorological Cconditions)でした。
夕方の報道では、気象庁発表では黄砂ということになっているが、九州大学の先生の話では、中国から大気汚染物質が飛来しているとのことだそうです。
この大気汚染物質は黄砂より粒子が細かく、肺胞の中まで入り込んでしまう恐れがあるので黄砂より性質が悪いとのことです。
チョットわき道にそれてしまいましたが、この黄砂が原因して、視程が悪い中での訓練を強いられました。
飛行視程5,000mというと結構遠方まで見えるように思いますが、実際にはテクオフ地点から滑走路端を眺めると霞んで見えるような状況でした。
佐賀空港の滑走路長は2,000mですので、約1,300m程度でもかなり霞んでいるということになります。
テクオフすると一面白い霧の中を飛んでいるような感じです。見えるのは空港と地上(海面)のみで、水平線(地平線)は全く見えません。幻想的な雰囲気などと言っている場合ではありません。
テイクオフ後に早速困難に見舞われます。先ず、目標が見えないので定針儀(DG/Directional Gyro)を頼りに進路を取ります。500フィートで第1旋回を開始して、800フィートでレベルオフするのですが、
いつもと異なり、機首が下がりすぎてしまいました。
ダウンウインドへの第2旋回でも40°以上のバンクに入れてしまいました。そして教官から指摘されるまで気付かないままでした。
姿勢指示器(AI/Attitude Indicator)をみて、ハットしてしまいました。
ダウンウインドでも100フィートも高度が違ってくるし、DGでヘディングを修正したつもりでもAIをみればバンクしたままでした。自分では水平になっているつもりでしたが・・・。
一瞬、AIが故障してしまったのではないかと思ったほどです。空間識失調(Vertigo)ということは知っていましたが、まさか自分の身に起こるとは思いもよりませんでした。
水平線がこんなにも重要な役割をしているとは、今更ながらに驚かされると同時に計器とのクロスチェックの重要性を再認識させられました。
TGLの訓練状況については、未だ道遠しといった感じでしょうか、もうしばらく訓練を続けなければならないようです。
次回の訓練は、長崎空港へ行ってTGL訓練をするかも知れません。これは、ソロに出た時に佐賀空港に着陸できない場合に備えた代替着陸(ダイバート/divert)訓練のためにとの
ことですが、余りにもTGL訓練が長引きマンネリ化しそうなので、息抜きも兼ねて他の空港へ行ってみようとの教官の配慮とも思われます。
それまでに長崎空港までのルートとか管制圏のATCなどを予習しておく必要があります。負荷がかかることではありますが、ナビゲーションの真似事ができますので楽しみでもあります。
現在までフライト回数20回、着陸回数83回、総飛行時間19時間00分となりました。
2009/02/12新規
2009/03/19更新
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