☆空調機制御方式−その3(間欠運転の補足説明)☆

 「空調機制御方式−その2(間欠運転)」で説明しましたように間欠運転による省エネがゼロであるということではありません。一時的にしろ圧縮機が停止させられるわけですから、停止している時間は電力消費が抑えられます。 その代わり、冷房中は室温が上がります。(暖房では室温が下がります。以下、冷房に限定して説明します。)
次に圧縮機が動作すると温度調節器の設定温度まで室温を下げようと圧縮機が連続運転します。 ですから例えば、5分間強制停止させた場合には5分間(若しくは5分以上)より長く連続運転してしまいます。
下図は、その辺りの事情を説明したものです。


薄青のラインは、空調機の設定温度(この場合25℃)で、強制停止しなければ保持されるべき室温(実際には設定温度に対して一定範囲で変動しますが、 簡単のため直線で示します。)を示しています。この時、T1=T=5(分)とした間欠運転を行ったとします。
赤のラインは、5分間強制停止して元の室温に戻る様子を示しています。T1時間停止により、何度まで室温が上昇するかは、 条件(外気温度、内部発熱量、部屋の断熱等々)により違ってきます。
赤のラインで示される室温の上昇により平均室温が上昇(青のライン)します。
間欠運転では、温度調節器の設定温度(薄い青のライン)からの平均温度上昇部分が省エネになります。

 次に省エネ分の評価についてですが、グラフから明らかなようににT1が長くなれば、温度上昇が大きくなりますから省エネ分は増加します。 また、Tが短くなれば、低温度(薄い青のライン)の時間が短くなりますから、平均温度が上昇し省エネ分は増加します。
このようにT1とTに省エネ分は依存しますが、これらの値が決まれば省エネ分が一律に決まるかというと残念ながら、 そういう訳には参りません。
先に、T1時間停止により、何度まで室温が上昇するかは、条件により異なると申しました。
簡単な例で説明します。内部熱源として1kWのヒーターと5kWのヒーターを考えましょう。その他の条件は同じとします。 温度調節器の設定温度を維持するためには、1kWより5kWのヒーターの場合がより多くのエネルギーを消費します。 ここで、T1時間停止させた場合の上昇温度は同じでしょうか?
直感的に5kWのヒーターの時の室温が高くなることは、ご理解いただけると思います。また圧縮機が運転して室温を下げる場合にも室温の下降率が異なります。
つまり、T1=T=一定とした場合、内部発熱量により省エネ分(全体のエネルギー減少という意味でなく、 温度調節器に通りに維持した場合と強制停止した場合の差という意味で)が異なるということになります。
今は、内部発熱についての考察でしたが、外気温度やその他の条件に左右されてしまうことがご理解いただけると思います。
ですから、10分間の内3分間圧縮機を停止させるから30%の省エネになりますといった簡単な計算式では示すことはできませんと申し上げたのです。

 更に、省エネ分を増加させるためにはT1を長くするかTを短くする必要があります。
例えば、T1を長くしたとしますと温度上昇が大きくなります。 仮にT1=5分、T=10分とした場合に3℃の温度上昇があったとします。 そうすると15分間という短時間のうちに25℃〜28℃の間で温度変化を繰り返すことになります。
また、条件が異なれば、同じT1=5分、T=10分であっても、 室温の変化は25℃〜26℃であったり25℃〜31℃であったりすることもあり得るのです。つまり変動の幅によって省エネ分も変動してしまいます。

 このように間欠運転には短時間のうちに温度変化を繰り返すという特徴があります。さらに省エネ分は条件により左右されます。
それと比べて、最初から室温を27℃にすれば25℃からの差が常に省エネ(省エネ効果は条件によって変化しますが、 平均温度の差は確保できるという意味)になりますし、短時間のうちに温度変化を繰り返すといったことも起こりません。これが空調温度管理の出発点です。

 さて、空調温度管理を実現するためには室温を管理する必要があります。人手で管理するという意味では、温度設定器の設定温度を適切に管理することで十分です。
ただ、なかなか「言うは易く行なうは難し」です。それと空調機の一斉投入などデマンドに纏わる問題も解決しなければなりません。




 一見「間欠運転」と似ていますが、一定温度上昇してからフラットになっているところが異なります。 間欠運転の場合にはT1長くすると省エネになりますが、温度上昇が何度になるかわかりませんでした。 あまり長くしてしまうと空調の意味をなしませんし、短くしたら省エネ効果は出ないし短時間で温度変化を繰り返すといったことになります。
温度調節器の設定温度に対して+何℃とシフトさせることで実現しています。
例えば、+2℃とすると、T時間を25℃、T時間を27℃に保持させることができます。
T1、Tは任意の時間をとることができます。 極端な場合T=∞、T=0といったことも可能です。

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