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第76話 マイクロ水力発電への期待

 マイクロ水力発電に興味をもったのは、1990年頃のことだったと思いますが、

清水幸丸著「マイクロ水力発電ハンドブック」パワー社刊

を読んだことによります。
 太陽光や風力発電関連の書籍を取寄せた時についでに注文していたものだったのですが、読み進むうちにこちらの方に魅力を感じたのです。
太陽光や風力と同様に自然エネルギー(重力による位置エネルギー、潮流を含む水流など)を利用して発電するということでは同じなのですが、何となく一番先に実用化できるのではないかと感じたのです。

 その昔、水力発電が発電の大きなウエイトを占めておりました。火力や原子力が増加するにつれて、その地位が低下してきたものです。
 水力発電の最大の欠点は、ダムなどの大規模施設が必要なことが挙げられます。そしてそのことが自然破壊と無駄使いの象徴のように見られしまっているように思います。
大規模施設は、効率を高めるために必要とされることです。発電コストを低減するために大規模化が必要とされます。このため火力発電に主役の座を譲ったのです。
 また、水力発電所は通常山奥にありますから、送電ロスを含めた送電コストも高くなってしまいます。ですから、現状で大規模な水力発電所を新設するには疑問があります。

 しかしながら、少々効率は落ちるとしてもマイクロ水力発電ならば実用になるのではないかと考えました。風力の場合には費用対効果はさておき、安定した発電ができません。 それこそ風まかせの世界です。太陽光ですら安定しているとはいえません。これらに比べれば、水力は遥かに安定した発電が可能です。
 それに水力発電は、太陽光と比べれば枯れた技術です。大きな革新的進歩は望めないでしょうが、確立した手法が使えると考えました。
これらのことから、太陽光が進展するまでの繋ぎとして、マイクロ水力が先に来るのではと考えた次第です。

 しかし、現実は逆の展開をたどっているようです。太陽光発電は国の後押しもあって、今後爆発的とはいかないまでも相当な普及の兆しを見せております。
 風力発電も各地に林立しております。風力の場合には、かなりシンボリックな要素が大きいと思います。雨後の筍のように建設された巨大風車の内で、一体如何ほどの 風車が有効な電力を供給しているのでしょう。甚だ疑問に思うところです。

 一方、マイクロ水力発電は、その中にあっても地道に進化し続けております。有効落差が2〜3mでも発電可能(工場廃水を利用した例もあります。)な発電機が開発されておりますし、 水流に浸すだけのタイプ(潮汐差や潮流を利用した発電にも適用可能であると考えます。)のものまでありますので、以前と比べれば適用範囲が大きく広がってきております。

 このようにニーズに応じた製品の多様化や低価格化がやっと進展してきたところです。そして、種々の実証実験が行われ、実用化例も多くなってきております。
興味を持ってから20年にして、やっと実用化の段階に入ってきたような気がしております。この間の先達の方々の並々ならぬ努力に敬意を表するとともに 今後の大いなる普及に期待したいところです。

 しかしながら、マイクロ水力の普及には技術的な進歩とは別に河川法や水利権のなどの問題を解決する必要があります。 こちらの議論は、マイクロ水力発電の普及のためには避けて通れませんので、改めて話題にしたいと思っております。


2009/08/16新規

2009/08/25更新


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