ティータイム


第70話 議員定数削減の是非

 「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。 これは人類普遍の原理であり、この憲法はかかる原理に基くものである。」−日本国憲法前文より抜粋

 日本国憲法については、改憲・護憲の立場から様々な議論がなされております。それはさておき、現行憲法の規定する政治のあり方は、いわゆる間接民主制であります。 民主主義の理想は、直接民主制にありと言われますが、現実の政治には多くの問題がる故、間接民主制をとっていると説明されております。
 間接民主制を実現するために重要な役割を果たすのが代議員です。つまり、普通(民主)選挙で選出された代表者(議員)に本来国民が有する固有の権利を信託しているのです。 言葉を変えれば、直接民主制を代議員によって擬制しているともいえるでしょう。ですから、本来の理想である直接民主制に近づけるためには、代議員の数が多い方が良いのです。

 本来、議員定数が多いことは国家として誇るべきことなのではないでしょうか。「国家が繁栄して、民主主義の理想に近づけるために、ここまで議員定数が増やせた。」 と国際社会に向けて何故胸を張って主張することが出来ないのでしょうか?
 逆に、財政危機を理由として議員定数を削減することが正論のように繰り返し主張されています。 何故「恥ずかしながら私たち政治家はミスを犯しました。その責めは自らの辞任によってとります。」と言えないのでしょうか。
 経費削減のためと仰るならば、方法は他にもあるのではないでしょうか。例えば、議員一人当たりの経費とするから議員の頭数によって経費が決まります。
先に、議員歳費の総枠を決めておいて議員の頭数で割れば、議員が少々増えても構わないではありませんか?
建物などの物理的制約が許す限り、多くの定数を定めるのが民意に適った方法です。一人当たりの議員歳費をそのままにしておいて、定数を減らすのは本末転倒です。
 例えとしてあまり良くはないのですが、雇用維持のためワークシェアリングを推奨しております。総人件費抑制の意味から雇用を維持するためには、一人当たりの人件費は低くなります。 これと考え方は一緒ではありませんか?
 議員歳費を減らすと政治活動ができないと仰います。では一体いくらあったらまともな政治ができるようになるのでしょうか?
政党助成金まで渡しているのに、いっこうに金権体質がなくならないのは何故ですか?
 また、一部の金持ちしか政治家になれないと仰るかも知れません。それは今でも同じことでしょう。逆に議員定数が増えたほうが競争率は下がりますよ。
などと議論百出しそうですが、現状よりコストを上げないという条件で、議員定数を増やしてみては如何でしょう?

 一方で、議員定数を増やせば議員の質が低下するといった議論があります。しかし、これは議員定数とは関係ないことは明らかです。極端な例で言えば、知事や市町村長などの 首長は当然一人しか当選しません。このことから質が高いといった結論は出てきません。また、単なるブームによって有象無象の議員が出現したことことも記憶に新しいところでしょう。
 確かに議員定数の増加によって、議員の質が低下する可能性は高くなるとは思われます。しかし、逆に器が大きくなることによって、その影響力を低下させることが可能です。 むしろ議員定数が少ないときに質の低い議員が紛れ込んだ方がはるかに危険です。100人の中の5人と50人の中の5人を考えれば明らかなことでしょう。
 小数の政治エリートによって国政が牛耳られる恐ろしさを考えれば、少々の質の低下はむしろ歓迎されることなのかも知れません。
これは人類が長年かかって築き上げた英知といえるのかも知れません。

 更に、一票の格差の問題があります。私見では一票の格差が2倍未満でなければ法の下の平等に反すると考えます。しかし、現実には直近の衆議院議員選挙で2.17倍、 参議院議員選挙で4.86倍となっております。
小選挙区にして、区割りを細かくしても2倍を超えております。そして、市長よりもはるかに少ない得票数で当選が可能なケースすらあるのです。
また、参議院の場合には地方区は、県単位になっておりますので、一人区はこれ以上減らすことができませんから県を合区するしかありません。 このようにすれば地方区の存在意義(地方区自体が必要かという議論は別として)がなくなります。
 現在の選挙制度を前提として、一票の格差問題を是正するには議員定数を増やすしかありません。

 さて、議員定数が減って喜ぶのは一体誰でしょうか。言わずと知れた官僚達です。ただでさえ肥大化して目が行き届かない状況なのに、更に議員定数を減らせばやりたい放題ができる。 もしかして本音はその辺にあるのではないでしょうか。全ての官僚がそうだといっている訳ではありません。国家のため献身的に仕事をしておられる方がほとんどだと思います。 しかしながら一方では、自分達の都合が良いように政治家を操っているとしか思えないような現実があります。
 これを防止するためには、むしろ議員定数を増やして官僚をコントロールできる仕組みを確立することの方がトータルコストが低減します。
 今回の補正予算のような壮大な無駄遣いをするのに比べたら、議員の経費なんて高が知れています。このような国家的無駄遣いをコントロールするのが本来の仕事ではないのでしょうか。 そのためには、議員の数を減らすことより増やす方が健全な結果をもたらします。そして、それは同時に民主主義の理想に近づけることにも適っているのです。
 同様のことは、地方議会議員にもいえることです。地方議会は国会より身近なものです。より多くの民意が反映されるようにすることが望まれます。

 小さい政府を目指すといわれますが、本来削減されるべきは行政庁の無駄の多い部分なのです。

<2011/02/02 追記>
 とは言いつつもこの国家財政の危機です。国民に負担や犠牲を強いる前に国会議員の皆さんも我が身を削るべきではないでしょうか?
現在議論されているのは、議員定数の削減です。これは先述の通り、議会制民主主義の根幹に関わる問題です。それに一票の格差の問題にも関わります。

 そこで議員報酬の大幅削減を提案します。この際ですから議員報酬を半額以下に引き下げましょう。それに諸々の特権なども削減対象としましょう。 本当に議員活動に必要不可欠な費用は、キチンと領収書を添付して実費支給にされたら如何でしょうか。民間では当たり前のことでしょう。「民間でできることは民間に」 と仰っていたではありませんか。民間でもできることは賢い議員さんのことですから絶対にお出来になると思います。
 それに政党助成金です。これも廃止乃至は大幅削減しませんか。この制度ができても政治と金の問題は解決できる見通しが立っておりません。このような制度こそ、 事業仕分すべきです。
 このように議員報酬を削減すれば、議会制民主主義の機能を維持しつつ経費が削減できます。そして、国民は何ら痛痒を感じることもありません。 痛痒を感じるのは議員先生だけなのです。それが嫌ならそもそも議員なぞならなければいいのです。そして、景気回復と財政再建ができ立派な国家として 甦ったた暁には、胸を張ってこれだけ仕事をしたのだから応分の報酬を要求してください。それまでは議員が率先して苦労に甘んじる姿勢を示すことが無ければ、 国民は誰一人として政治家を信用しないと思います。

 国会議員は言うに及ばず地方議員も同様です。市町村議会議員などはもっと定数を増やし、日当制とか極端ですが無報酬でも構わないと思います。 それこそ最も身近な代表者として、見識が高く、大いにやる気のある方々に活躍していただきたいと思います。

<2012/01/27 追記>
<参 考>
議員定数削減」 「必要なのは歳入と歳出の一体改革なのでは?」 「議員定数削減と選挙制度改革(一票の格差是正)」 「議員定数削減と選挙制度改革(一票の格差是正)-その2

<2012/11/14 追記>
議員定数削減は本当に国民の要望か?

<2016/06/07 追記>
議員定数削減しか方法がないのか?

2009/06/01新規

2016/06/07更新


ティータイム-2Top山浦綜合事務所 Tel.0952-71-1075 Fax.0952-71-1095Top

Copyright(C) 2008-2016 Yamaura Office All Rights Reserved.